2011年3月4日金曜日

中古本しか買えない時代へ

大学入学試験中に予備校生が携帯電話でカンニングをし、逮捕されたそうだ。

ハンドルネーム、アバターでも同じことだが、匿名なら何とでもなると考える彼らは、インターネットの仕組みや、今時のデバイスの凄さを意識しないのだろう。
iPhoneや、Androidなどで、タッチパネルをいじくりまわしている人たちは、自然に指紋を採取され、同時に画面を覗き込んでいる間に写真も撮られ、ネット上に蓄えられているかもしれない。
実際は無いにしても、この程度ならすぐにできるような時代なのだ。

使い勝手が良いということは、意識せずに今回のような事例を作り出すのだから、恐ろしい。

それにしても試験中に携帯電話で、コソコソしながらよくぞ投稿できたものだ。
補完機能を最大限に活かしても、そうそうできるものではなかろう。
それに、6分後には回答が書き込まれたというのだから、彼らは皆、反射的に動ける情報共有サイトの達人に違いない。

電子書籍の世界でも、ソーシャルリーディングなる言葉が生まれている。
フレーズというか、書籍の文面をシェアして、感想文を情報共有サイトでシェアするらしい。SHARE READER(http://shrd.jp/)はその一例である。

ニコニコ動画のように、シェアされ今流れている情報に対して、投稿できるものは、非常に素晴らしい仕組みだと思っている。

しかし、このように、個人の電子書籍を、わざわざ本文引用付きで、感想文を投稿してシェアという点で、著者や読者はソーシャルリーディングに満足するのだろうか?
http://blog-imgs-38-origin.fc2.com/d/e/s/designsign/20101215_share_2.jpg
SHARE READERでは、達人の技術は必要ない。

なぞるだけで、文章をネット上にUPできる。簡単だからあっという間に、全文そろって、ネット上で一冊になることだろう。これは良いことに思えない。

そしてそもそも、著者は、それぞれ一フレーズに対して、つぶやきレベルのコメントを望むだろうか?また、普通の読者は、余計なコメントに読む気を失わないだろうか?

更に、あるソーシャルリーディングでは、本文の該当箇所に他の読者がつけた感想を映画の字幕かセリフのような吹き出しのように表示する機能を検討しているという。

全くもっていらない機能だ。
実物の本だったら、他人の手によってつぶやきを書き込まれた本を、誰が金を出して買うというのだろうか。
販売に直結させたい意思はわかるが、それならせめて廃棄寸前の中古本として格安で売って欲しい。いらぬ情報は、マイナスの価値しか与えないことを認識する必要があるだろう。

リーダーは、機能的にもこのような方向に行かないだろうから安心だが、電子書籍全体の発展に危うさを感じてきた。中古本しか買えない方向へ向かっていることに気付いてほしい。
今は、ソーシャルリーディングが、皆の手によってシェアが目的とならないことを祈るばかりだ。
新刊を丁寧に読みすすめて感じる、自身の素直な感想を妨げないために。